2011年12月13日火曜日

怒りと悲しみを〜人種差別〜

今年も師走になり、残すところ数週間です。
今日は別の話題を書こうと思っていたのですが
事件があったので変更することにしました。

イタリアは中部、フィレンツェで発砲事件がありました。
セネガル人2名が死亡、3名が重傷を負いました。
事件発生は午後12時半ごろ、買い物客がわんさか居る
白昼、市場(2カ所)での出来事です。

発砲したのはイタリア人男性、極右の人で、
警察に追い込まれ、自らもピストルで死亡しました。
これを受け、直後からセネガル人のデモが始まり
おそらくまだ続いていることと思います。

多くのセネガル人は、仕事でイタリアに来ている移民。
アフリカ大陸から近いイタリアは、移民の多くが
まず第一歩を踏み入れる場所でもあります。
その後、ドイツやフランス、その他のヨーロッパ国々に
行く事も多いのですが、イタリアにも大勢移民が
流れ込みます。

最近ヨーロッパ各国で極右の台頭が見られます。
21世紀、世界中の人々が行き来するようになり、
ヨーロッパ(EU圏内)はパスポート無しでも
移動が可能になり(*EU圏の人のみ)、
国境があって無いようなものになってきている、
そんな時代になっている今日、
いまだこんなに人種差別があるのか、時代を逆行している事態に
まったく納得がいきません。

それぞれが、思う事は個人の自由ですから
それを否定するつもりはありません。
行き過ぎがどうかと思うのです、今回は殺人です、しかも、
無実の人に対する犯罪。顔見知りでもなんでもなく
単に「セネガル人」ひいては「外国人」に対しての行動。

当然ですが、わたしもイタリアで何度も差別的な
発言は受けた事があります。
ふざけてつばを吐かれた日本人女性も居ます。
ただ、日本人の場合は比較的、悪いようには思われて
いません、それは、日本人が他国で犯罪を犯したり
非道徳的な行動をとらないからでもあります。
では、上記のセネガル人は逆だったのか?

そんなことはありません。
彼らもまた、祖国に居る家族のため、自らのために
働き、普通に暮らしている人たちです。
もちろん、中には犯罪を起こす移民の人たちも
居ます、それが「移民全体」を指している事では
ないこと、誰もが分かっているはずです。

「EU圏外の人」という名詞があります。
私達日本人も、その中に入ります。
この、「圏外」は比較的否定的な意味で使われます。
時々冗談でわたしも「わたしは圏外だから」と
言う事がありますが、これは皮肉もこめています。

今日はどこもこの事件がトップニュースでした。
これは、単なる一殺人事件ではなく、
国としての、モラルに関わる、大きな、深い意味を持つ
事件なのです。

セネガル人のコミュニティは、恐らく日本人の
それに比べて結びつきが強いと思われます。
それでも、もしも今回、日本人が殺人の対象になっていたら
わたしは迷わずデモに参加し、
セネガル人と同じように抗議すると思います、
日本人の誇りにかけて。