2011年11月26日土曜日

改めて、視野の狭さを問われたとき

1ヶ月ちょっと前、日本の観光庁発信の情報として
2012年、外国人1万人に対して日本行きの航空券をプレゼント
のような記事が、ネット上で一気に流れましたこと、
ご存知の方も多いかと思います。ただ、観光庁のホームページ上では
まだ確定していない、という但し書きがあります(本日現在)。

観光庁のこの情報(英文)
http://www.mlit.go.jp/kankocho/en/page01_000222.html


これを「やった!是非申し込みたい!」と喜んでくれたイタリア人が
私の周りにも何人か居ます。是非とも決定してもらいたいものです。

が、この報道、私はまったく「プラス」にしか考えて
いませんでした。先日初めて「マイナス」意見を聞いて
ハッとさせられたのです。

それは、友人数名と話していた時のこと。
時々アリタリア航空で信じられないくらい格安の航空券が
出るので、その話をしていました(日伊往復で約5万円くらい)。
この格安航空券、今に始まったことではありません
それ以外にも航空各社で時々こういう「キャンペーン価格」が
出ます(日系各社は平均的に高価で、外資系が多いです)。

その会話のうち1名はラブニッポン。
大震災直後にも、「今、お金があれば迷わず行くのに」
と言ってくれた嬉しいともだちであります。

その日、上記の観光庁の話とアリタリア航空の話を
していたときのことです。
別の子が「でもさ、そんなに安い航空券出したり
タダのチケット出すってことは、やっぱり日本が危ないって
証拠だよね」と。

そうではなくて、震災と原発事故で、激減してしまった
日本への観光客に、なんとか戻って来てもらおうと、
日本は安全だから大丈夫と、そういう意味を込めての企画だと。

わたしとラブニッポンの子で反論したものの、
まったく暖簾に腕押し状態。
ラブニッポンの友だちは、私を思ったからか、
いきなり別の話題に変えてしまいました。

そうか、でも、そういう見方をする人が居るんだ、と
今回思ったのです。私は日本人なので、日本にも帰るし
外国人にも日本へ行って欲しいと思っています。
放射線とか、セシウムとか、色々ニュースはありますが
人に聞かれれば「大丈夫」と、自分の視点で答えるまでに
なっています(「大丈夫じゃない」と言いたくないだけ)。

でも、甘い話には乗らない、という人たちも
世の中にはたくさんいるんですね。
タダってことは危ないってことだ、
この一言は頭をがーんと殴られた感じがしました。
ショックだったのです。

こんなことで、いちいちショックを受けていては
乗り越えられないことばかりですが、
多少落ち込んでしまったこの日は、一人、焼酎片手に
ぼーっとしてしまったのでした。

***
そんなんで、日本を思って想っておもう日々。
魚料理の居酒屋で、珍しいエビの
お刺身を食べながら
白いごはんとお醤油欲しいなあ、
とつぶやいたわたしは、
どこまでも日本人だなあと感じるのでした。



では。

2011年11月18日金曜日

テレビ

日本では7月にデジタル放送に完全移行されてから、
半年経ちますね。地デジの見方が
よく分からなかったのと、地デジで録画したDVDは
こちらでは映らなかったので、わたしはギリギリまで
アナログを利用していました。

イタリアの私のテレビは、まだブラウン管
奥行きが結構あり、このタイプを持っている人、
段々少なくなって来ているような気がします。

イタリアは日本と違って、州ごとに完全デジタル化になり、
また、州の中でも
「この市とこの地域はこの日までに完全デジタル化します」
のようなテロップがほんの少しの間、流れます。
日本のように「邪魔だなあ」と思うような上下や右上のアナログ表示は
ありません。
当然、混乱も最初は起きる(テロップあっても
混乱あるんですからね、この程度じゃ、混乱起きますわ)。

ということで、わたしはどのようにしたかと言うと
チューナー内蔵のテレビを買い替えることは
できなかったので、デジタル用のデコーダーと呼ばれる
チューナーをギリギリに購入したのです
(ギリギリ、と言っても、間に合わず。数日は
砂の嵐で過ごしました)。

理系の人はご存知かもしれないですが、わたしは
生まれて初めて、テレビのアンテナがどうなっているのか、
知ることになりました。

皆さんご存知の方も多いと思いますが、
地デジ化にあたり、必要なことは
A)チューナー内蔵テレビを購入
B)チューナーを取り付ける
で、Bを選択したわたしは、がんばりました。
専門用語はまったく分からないので、適当な説明で。
もともとテレビとアンテナをつないでいたケーブルを切断。
2本になったケーブルそれぞれ両端の
外枠をはがし、中のラインをむき出しにして、
+と−それぞれの部品(購入した)を取り付け、
チューナーとテレビとアンテナに取り付ける。

1)2本に切断したライン
2)先端をむきだしに



3)部品をとりつけ
4)カバーをつけて完成



こんなことなのに、時間がかかってしまいました。
いえ、どちらかというと、設置に。
差し込み口間違えたり、チャンネル間違えたりして。

テレビって、出来てるラインをそのまま差し込んだことしか
これまで無かったので、こんな風にできるんだ〜と
ちょっとした喜びで。雑貨屋さんで購入したので
やり方を教えてもらいました。ものすごく節約できました。
と言っても、ケーブル1本分、ですけど。

ちなみに私の工具(一部)です。



あと、電動ドライバーとか、のこぎりとか意外と
たくさん持ってます。日曜大工、結構好き。
将来、余暇を使って色々自分で作りたいなあと思っています。

では。



2011年11月17日木曜日

寒い日のおとも

少し前まで、「暑いアツイ」と書いていたのに
もう寒くて震え上がりそうです。
今年も例年のように、暖房つけずにギリギリまで
頑張っています。

それでも、夜はやはり、これ。


湯たんぽといいますか。
イタリアではよく使われます。熱湯を入れて
布団に入るときに私はお腹に抱えて。
「熱湯を入れてはいけません」って
英語表記が書かれていますが、今まで問題が起きた事は
ありません。
ホッとするこの湯たんぽ、おススメです。
 数年前、既に日本へ帰国してしまった友人から
頂戴しました、お気に入り。

あと、私は持っていませんが、電気毛布みたいのもよく使われて
いるようです、湯たんぽとか電気毛布とか、総称
「scaldasonno(スカルダソンノ)」。
ソンノとは睡眠のこと。scalda-は接頭語で、だいたい
温めるものの単語に使います、
scald(a)acqua (スカルダクア)は湯沸かし器。
アクアは言わずと知れた、水、ですね。

うちはイタリアの家の中でも天井が高い方なので
暖房を入れても、なかなか部屋が暖まらないんです
(注:家自体は小さいです)。
ということで、着膨れ。

***
ようやく、上階の工事も終盤の兆しが。
今月はずっと最後の仕上げらしく、人との会話ができないくらいの
騒音でした。朝もゆっくり寝ていられない、寒いのに。

***
ということで、今日はオーブン料理にして、
オーブン使用したあとは開けっ放しにして少しでも
部屋が暖まるようにし、今晩も湯たんぽ抱えて寝ます。

では。



2011年11月13日日曜日

イタリアの娯楽

何年ぶり、とは言わないですが、最後に映画館へ
行ったのはいつか、思い出せないくらい久しぶりに
1週間で2本の映画を見ました。

1本目はショーン=ペン主演の
This Must Be The Place
 重い映画かと思いきや、主役のショーン=ペンが
非常に味のある演技で、笑いもあり。
印象的なシーンもあり。
トレイラーはこちら↓
http://www.imdb.com/video/screenplay/vi1375182361/

もう1本は「プラダを着た悪魔」「プリティ・プリンセス」
などのアン=ハサウェイ主演「One Day」。
こちらはラブロマンスかと思いきや、そうではありますが、
想像していなかった展開に、期待以上の映画でした。
ラブロマンスはそれほど見ませんが、これは見る価値
ありました。
エジンバラやロンドンが舞台ということで、
今夏、ロンドンではこの本を片手に持つ人が地下鉄やカフェに
あふれかえっていたとか(ロンドンに行った友人談)。
トレイラーは ↓
http://www.youtube.com/watch?v=GU4qLmIXbOE

今回観た2本とも、突然行く事になったので
事前にどんなストーリーかよく調べていませんでしたが
どちらもよかったので、得した気分です。

映画館に行く事がめっきり少なくなり、
割引のある日(600〜700円くらい)にすら
行かなくなってしまいましたが、久しぶりの映画館はいい。
日本みたいにパンフレットとか、全然無いですけど。

イタリア人の娯楽といえば、その代表が映画
夜は必ずと言っていいほど、どこかの放送局で映画があり、
みんな、何かにつけて「映画見よう」と言います。
とにかく映画。
日本の映画もたまにあります、単館上映だったり
日本映画祭だったりしますが、嬉しいので、これは
結構観に行きます(ジャンルはやや偏ってます)。

夏場は映画館が休館になって、野外でその年のヒット作や
話題作を上映したりします(蚊よけスプレー必須)。
価格も少しお安め。

日本は昼間でも映画を観れますが、こちらでは
早くて午後3時くらいから。20年くらい前までは
イタリアでももっと早い時間にやっていたそうなのですが
動員数が少なくて、廃止されているようです。

秋の夜長は映画。
今年、あと1本くらい、観に行ってもいいかなと
ちょっと腰を上げる気持ちになっています。

では。

ここからが正念場

「ベルルスコーニはもはや我が国の首相ではありません」

これが今朝、あるテレビ局でキャスターが発した最初の言葉でした。

正式辞任するまで
「でもあの人のことだから
何か理由をつけて首相の座に居座るかも」
とか
「結局まだ辞めてないから分からない」
とか
そんな言葉を何度か聞きました。が、昨夜正式辞任。

冒頭のひとこと、この元首相の影響力が非常に大きかったことを
象徴していますね。

さて、本日中には新首相が決まる予定。

これは今回初めて知った事ですが、暫定政権として
一国の首相に選ばれるのは、恐らく現国会議員ではなく
一般の人(知識人)。でもそれではまずいので、
今月、大統領から上院議員に任命されました。
火急の対策が必要な経済問題をなんとかすべく
元欧州委員であるとか、経済学者であるとか、
そういう肩書きを持つ人です。

個人的には、政治の経験が無い人が、一国の首相になって
大丈夫なのだろうか?
国家の緊急事態(経済以外)に陥ったとき、舵を取れるのか、
と勝手に考えもしたのですが、
わたしの知識も浅いので、そういう心配は無用なようです。

目下の経済問題を解決する(しなくてはならない)のは
誰が首相になっても重圧でしょう、一朝一夕にはいかない。
ベルルスコーニ元首相を辞任に追い込むことが
野党の目標みたいになっていたところがあるので
ここからが正念場です、いや、まだ野党は政権を取ったわけじゃ
ないし。
与党だって、連立だったわけなので、決しておちおちして
いられないですね。
次の総選挙(2013年?)までにどうなるのか。
またしても傍観者のわたしではありますが、
さすがにまずいだろう、という経済的な感覚を目の当たりに
している今日、イタリアがどう変わって行くのか、
恐いもの見たさもあります(失礼)。

***
そして、また全然関係ないですが、
先日アペリティフ(イタリアではアペリティーヴォと言います)
に行ったときの一品がとても可愛らしかったので。
この一皿に飲み物(アルコール)がついて10ユーロ(千円ちょっと)。
なかなか粋な創作料理で見た目が気に入りました。





ちょっと暗めの画像ですが、高級に見えるかも。

一昨日は友人が仕事でイタリアへ来ていたので
久しぶりの外食。訪問客が多いのがイタリアに居て
嬉しいことのひとつ。

問題山積みのイタリアで、それでも今日も観光客に
あふれている、世界からみたらやっぱり魅力のある国なのかもと
実感しているところです。

では。




2011年11月1日火曜日

笑うしかない、か

先日の、友人との会話。

政治のはなしになったとき

わたし:イタリア人ってすごいよね、悲観的にならない
友人:泣かない代わりに笑うしかないんだよ

すごいな、この考え。
彼女もケタケタ笑いながら話してくれました、
政府や首相のあーでもない、こーでもない、というはなし。

先々週行なわれた、ユーロ圏首脳会議での
隣国サルコジ仏大統領とメルケル独首相の記者会見の様子。

http://www.youtube.com/watch?v=8a8hI1uimNU


フランス語はまったく解さないので、分かりませんが
「伊首相は緊縮策を約束したのか?」みたいな内容で、
ものすごく大雑把に言うと、
現在のイタリア国債(経済)問題について、伊首相は
対策をとっているのか?ということでしょうか。

それに対してサルコジ大統領は一瞬沈黙、そして隣の
メルケル首相を見て、二人はアイコンタクトの末
共に吹き出し、会見場の記者たちもみんな笑う。
イタリア首相は駄目だ、というようなニュアンスを持つ会見に
なってしまった。

わたしはほんとにすごいと思う、ベルルスコーニ首相は
度胸がある(というと、イタリア人はわたしのことを
冷たい目で見る)。どんな失言をしても、辞任しない。
どこに言ってもこんなに話題にのぼる首相って
なかなか居ないんじゃないかと思う。
ベルルスコーニ首相の失言は、毎回笑わせてもらっている
(日本人だからね、わたしは)。
誰に何を言われても、めげない、泣かない。

「泣かない代わりに笑う」
イタリア人を見習いたい。

では。